今回、取り上げさせて頂くのは、
厳密に言うとふたりバンドじゃありませぬ。
ソロ名義の作品として発表された上、
ジャズの話なのでデュオ(二人組の意)と言うのが正しいっす。
更に言い難いことに、貼るべき動画も一個しかありまへん。
発表した音源作品は一枚だけ。しかもライブ動画は存在せず。
でもねぇ、これ、どうしても紹介したくってさ…。
だから番外編的な扱いってことでオナシャス!

皆さんはフリージャズをご存知?
当ジャンルに馴染みのない方のために超簡単解説。
「なんかジャズってさぁ、決まり事めっさ多くね?」
「ねー、理論とか形式とかぁ、マジかったりっすわぁ。」
「じゃあさぁ、それ守るの全部やめちゃうとかwwww」
「なにそれウケるwwwwww」
「自由なwwwwジャズwwwww」
こういうことなんですけど…分かりました?
うん、分かるわけないね。ちゃんとやろう。

時は1950年代後半。
ジャズには“こうじゃなきゃならない”
っていう確固たる規律がありまして、
当時のジャズマン達はそれを守ることにこそ、
美学を見出していたわけです。
例えば、順当にソロを取らなきゃいけないとか、
スケールアウトしてはいけないとか、そういうね。
それにいち早く辛抱たまらなくなったのが
オーネットコールマンさん。
盗んだバイクで走り出す尾崎先生よろしく、
ほぼ全ての規律を破り、
ただの無茶苦茶にしか聴こえない謎演奏を
各地で繰り広げ賛否両論&大論争を巻き起こします。
それに感銘を受け、俺も!となったジョンコルトレーンさん。
コールマンがフリージャズを生み出してから数年後、
既にジャズ界の若き巨匠として活躍中の彼が、
高く評価していたドラマーのラシッドアリさんをお迎えし、
満を持して制作したルールブレイカーな即興演奏作品がこれ。↓

・John Coltrane & Rashied Ali
「INTERSTELLAR SPACE」訳すと恒星間空間。

前の解説を知らないで聴くと「は?」ってなるでしょ。
「これを?カネ払って買えっての?」って思う人もいるでしょ。
買ったよ、あたしゃ。
今でも聴いてるぜ、最高だからな。

なんてったって、ふたり編成の醍醐味である“試合感”が凄まじい。
頭に浮かんだフレーズを次から次へと吐き出し続け、
互いにぶつけ合う音の洪水合戦絶賛開催中。
人数が増えれば派手にこそなるだろうが、
本当にただの滅茶苦茶になっていくだけだろう。
何色もの絵の具を混ぜると汚い色になるのと同じこと。
ここまでソリッドに“相手”の存在を意識させる即興演奏は、
どう考えてもふたりでなければ成し得まい。

ここで注目すべきなのが、
ジャズという縛りから抜け出ようとした作品にも関わらず、
“音のやり取り”はキッチリ残っているという点。
分かり易い箇所は44:55の辺りかね。
サックスが一定のテンポを持っていることに気付いて、
小節の頭を突如合わせにいくドラム。
このポイントを聴くと、ただの出鱈目じゃないのが分かるでしょ。
つまり、自らを解き放ったような荒々しい演奏をしていながらも、
相手の音を聴き、それを受ける、もしくは流すという判断を、
秒単位でやってるってことですよ、このふたりは。
それって凄くね?超凄くね?

さて、このことから、重要な結論が導き出される。
このふたりにとって、
最後まで無視し切れなかった“音のやり取り”こそが
ジャズそのものであったということだ。
そして、そこで見えた“答え”の象徴として、
こういうジャケになってるんだと、
俺は勝手に解釈しちゃってますが、
そこんとこどうですか?
コルトレーンさん。


まだまだいるぜ、珠玉のふたりバンド。
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