今回はジャズの名盤を紹介。

世界情勢的にも音楽史的にも、
激動の時代を駆け抜けたテナーサックス奏者、
ジョン・コルトレーンの「至上の愛(A Love Supreme)」について触れてみる。

前説なしに聴ける名盤ではあるが、
このあらすじがあるとより楽しめるのではないだろうか。

敬虔なクリスチャンの母親を持つコルトレーンは、祖父が牧師だった。
この家庭環境が彼の“愛”という概念を育んでいく。

そして彼はジャズ音楽だけでなくクラシック音楽にも興味・関心を寄せていて
シェーンベルクやストラヴィンスキー、ヴィラ=ロボスと
当時最先端と呼ばれていた作曲家の音楽も熱心に研究していた。

その関心がジャズでの「組曲(単曲を並べるのではなく、コンセプトや関連性を持たせる試み)」
を創作する構想を持たせた。

そして長い年月を経て1964年(当時38歳)、
彼は4楽章からなるひとつの「組曲」をレコードの中に落とし込んだ。
それが「至上の愛」である。

パート1:Acknowledgement(承認)
パート2:Resolution(決意)
パート3:Pursuance(追及)
パート4:Psalm(賛美)

有名なエピソードとして、この曲は
「神に捧げるために作った」と本人が語っている。

当時4人の女性と関係を持っていたコルトレーンは神への懺悔と、
20代後半、ドラッグとアルコールに溺れていたコルトレーンを救い支えてくれた
妻ナイーマと娘サイーダへの感謝の意味も込めている。

詰まる所、自らの行いを懺悔し、認め、決意し、前に進むという
激動の人生を「神に捧げ」、
許してもらうという意味合いが強く込められている。

コルトレーンはジャズという枠組みで認識されているが、
クラシックやブラジル音楽、
果てはアフリカや諸民族の音楽にまで精通した彼が、
ただジャズという語法を用いただけで、
その精神性はクロスオーヴァーやフュージョンのそれに限りなく近いだろう。

 

吉川真登 : Yoshikawa Masato


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